構造設定


宇宙をコスモスと表現することがある。

秩序を表すギリシャ語を語源とし、星々が整然と並ぶその様を秩序と見立てたことに由来すると言う。
コスモスの花もまた、その秩序に沿った美しい花びらの形を喩えられてコスモスという名を与えられた。
そして今、宇宙の中に新たな『コスモス』の名を持つものが誕生しようとしていた。
秋桜<コスモス>のごとく秩序正しい美しさを誇り、宇宙<コスモス>の中へと走ってゆく新たな道標。
満天の星の輝く宇宙へ還るため、満天星国がその一歩として送り出した連結型宇宙開発拠点。
その名も、コスモスである。

・概要

その名前の由来は花ではなく、秩序・宇宙の意味からである。しかしその外観からも分かるように植物を意識した造りはされており、テラから直結する長距離輸送システムを茎、ソーラーパネルを花弁、居住区画(研究施設、倉庫を含む)をおしべ、港湾区画をめしべに見たたている。
花弁であるソーラーパネルの最大直径は10km、茎の全長実に6000km。非常にアンバランスな花となっているが、宇宙に咲くその姿はバランスと言うものを忘れさせるほどの美しさを誇っていた。
その構成は旧ビギナーズ王国がかつて開発したミアキスにヒントを得ている。すなわちブロックごとの構造にした上でそれらを連結。放射状に各ブロックを配置することで拡張に限界を作らず、その未来に大きな可能性と多様性を持たせた。
現時点ではこれからコスモスがどのように育っていくかは不明だが、想定されている拡張計画としては従来の居住区画に更に居住区画を連結、それにより新たな施設を追加するようになっている。

・港湾区画

港湾区画と銘打ってはいるが、長距離輸送システム『旋天線』、銀河鉄道『111』および宇宙艦船が連結できる部位であり、またすべてのブロックが連結し、それらに電力を供給するコスモスの核となる部分である。
最下部には旋天線の終着駅があり、そこから上に行くにつれてソーラーパネル、宇宙艦船停泊施設、居住区画、そして最上部に111の始発駅がそれぞれ連結している。
その内部は移動のために大きな空洞となっている。中心には旋天線の終着駅から111の始発駅までを繋ぐ、直径10mほどの通路が6本束になったメインパイプがあり、それを中心にそれよりも細いサブパイプが距離を置いて平行に並んでいる。それぞれのパイプと各ブロックへの通路は放射状に伸びている形となっており、植物の維管束をイメージさせる作りになっている。
この区画は居住区画と異なり擬似重力を発生させていない。人だけではなく貨物もここを通るため、重くてもスムーズに移動できるようにとの配慮である。そのため、移動する際は通路の各所に設置されているコンベアに掴まって動力を得ている。
艦船との連結は居住区画の下に設置されたリング状の部分で行われる。一般的な艦船は船首を花柱に向けて接近し、十分に近づいたところでアームで固定される。この部分の直径は8kmほどであり、同時に何隻もの艦船が停泊できるよう設計されている。整備・補給などは基本的にその連結状態のまま宇宙空間で行われるが、大規模な修理が必要な場合は後述する居住ブロック内にあるドックを利用することになる

・居住区画

旧ビギナーズ王国がかつて開発したミアキスをモチーフにしたブロックを8つ、港湾区画下部に連結したのがこの区画になる。とはいうものの、その大きさはミアキスとは比べ物にならない。1つのブロックの大きさは全長6km、全幅1kmという巨大な円筒状になっており、その透明な宇宙線遮断ガラスの中に実際に人が活動するブロックが納まっている。このブロックが僅かに回転を続けることで擬似重力を発生させており、テラに近い感覚ですごすことが出来る。
先述の通り、ここには単なる居住施設だけでなく、宇宙開発に向けた研究施設およびコスモスに運び込まれた貨物の一時保管倉庫が設けられている。全8ブロックのうち4つが居住施設となっており、コスモスに住む人の家や生活に必要な商店なども多数建てられている。また、ここには家の他にも多くの植物が植えられており、コスモス内の空気清浄に一役買っている。その発育に必要な太陽光は外壁に設けられた放射線対策済みのルーバーから取り入れられている。
残り2つは研究施設になっており、NWでの衛星使用の是非についてと燃料プラントについての研究をそれぞれ行っている。ここでは擬似重力をあえて発生させないことでより宇宙空間に近い状態での研究をすることが可能となっており、今までテラ上ではできなかった実験などが期待されている。
残り2つのうち1つは先述の通り緊急時のドックとなっており、修理資材などの倉庫にもなっている。最後の1つは物資を置くだけの倉庫である。これら2つはその端に宇宙艦船が入港できるベイが設置されており、かなり大型の艦船もその整備のためにここを訪れることがあるという。

・エネルギーおよび大気

これだけ巨大な施設であるコスモスだが、使用電力のほとんどはその大きさの半分を占めるといわれる巨大なソーラーパネルで賄われている。12枚の巨大なパネルからなるその発電施設はその美しさの象徴ともなっている。一般的なソーラーパネルというと光の吸収効率が良いように暗い色をしているのが通例だが、このパネルはあえて反射させることにより、その時発生するエネルギーを取り込むという方式になっている。そのためその白色は直に見ても目に優しく、宇宙の中に一際美しく輝くという。
また、宇宙空間に存在する施設なだけに空気を清浄に保ち、酸素と窒素のバランスを一定にするのは重要なポイントになる。テラから定期的に空気を取り込んでいはいるが、それにかかるエネルギーもバカにはならない。そのため、先述の通り居住区画には多くの植物が植えられており、光合成で酸素をリサイクルしている。それ以外にも二酸化炭素から酸素を分離する脱酸素装置や有害物質などを除去する空気清浄機を備えており、テラからの空気供給を出来る限り少なくするよう配慮されている。

・災害、犯罪対策

宇宙で生活するうえで一番の大敵が宇宙線である。いくら対策をしても常にテラ以上の宇宙線に晒されていることには変わりないため、そのリスクは0にはできない。しかし、限りなく0に近くなるよう研究と努力が重ねられた結果、テラ上とほぼ変わらないかそれ以上に宇宙線を除去することに成功している。
それにもっとも寄与しているのは居住区画を覆う強化ガラスである。これはただガラスの強度を高めているだけでなく、特殊な微粒子を配合することによって宇宙線を吸着することが可能になっている。そのためこのガラスを通った時点でかなりの宇宙線が除去されることになり、次に控える壁でそのほとんどを遮断することが可能となった。
コスモスの外壁は最も薄い部分でも3m以上となっている。これは2m以上の厚さの鉄と空気によって宇宙船の大部分が遮蔽されるという研究結果に基づいている。このように二重の守りによって宇宙線は内部まで浸透することはなくなった。また、内部にはガイガーカウンターが各所に備えられ、突発的な宇宙線の増大にも警告などをすることで対応できるようになっている。
火災もその被害もさることながら酸素の消費が早まると言うことで予防段階から厳重な管理がなされている。居住区画で使用できるコンロはIHヒーターのみとなっており、火を使うことは極力避けられている。万が一火災が起きた場合でも、随所に設置されたスプリンクラーですばやく鎮火される他、犬士たちが消化剤をまくためにすばやく集結。被害の拡大を未然に防いでいる。
犯罪に対しては警察アイドレスを着用した犬士が毎日のパトロールを欠かさず行うことで抑止力とし、また入場する際の身分確認、ボディチェックを厳密に行うことで未然に防ぐ努力に力を注いでいる。
これらの対策にも関わらず大惨事が起きた場合、緊急避難としてその被害が起きている区画「のみ」をシャッターで隔離、その後パージを行うことで被害を最小限に食い止めるよう設計されている。このシャッターはコスモス内に25mおきに設置されており、例え居住ブロックの中ほどで災害が起こったとしても、そこだけを抜き取るようにパージすることが可能となっている。
パージされた後は残りの部分と再び結合できるようにもなっており、そのために各ブロックのライフラインは細かく区分けされ、共通化が図られている。


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