惑星防衛艦隊基地「フォートオブジャスティス」はテラ領域に迫る外敵を迎撃する宇宙艦隊の基地となり、そしてここより後ろへは何であろうと通さない最終防衛ラインとしての役割を求められている。その機能は宇宙艦隊および無人機の運用能力そして敵艦の行く手を遮る広範囲への障害物散布能力によって満たすことが可能であると考えられていた。
しかし、別の部分では大きな問題があった。一例としては、どこに配置すればいいか、である。
たとえ散布能力が広範囲とは言え、もちろん無限であるわけではない。必然的に迎撃することができるのは配置した方向のみとなってしまう。もしも敵に迂回されたり別方向から侵攻されれば防衛基地としての機能は意味を成さなくなるのである。地上と違い広大な宇宙ではこのような事態は大いにあり得ることであった。
また、敵は一つだけではなく、未知の敵、すなわちどの方向から侵攻してくるか分からない敵に対しても対応しなければならないという問題もあった。これは、配置でどうにかなる問題ではなく、それこそ複数の基地を建造でもしなければ解決できない問題であった。が、もちろん基地などそんな簡単に何個も作れる物ではない。
そこで、この惑星防衛艦隊基地には大規模な推進装置を搭載することで、基地そのものに宇宙空間での長距離移動能力が付与されたのであった。これによって、軌道上での配置だけでなく、侵攻してくる敵艦隊の予想航路上に基地を移動させることができ、あらゆる方向への対応が可能となっている。
この機能により、敵の情報さえつかめていれば確実に防衛基地としての役割を果たすことができ、フォートオブジャスティスはたった一つだけの基地でありながら、極めて広い守備範囲を誇ることとなったのである。


迎撃設備としては、大型の対艦レーザー砲が各外部セクションに6門ずつ配備されている。これは、障害物陣地中に設けた自軍艦隊の航行用スペースから侵入してくる敵艦の迎撃を想定した装備であり、その用途からスペースを作成できる方向へ向けて集中的に配備されている。さらに、六秒間隔でテレポートを繰り返すという艦への対策として、各砲の照準機能は高度に自動・高速化されており、移動範囲の制限されるスペース内であれば、秒速30万kmというレーザーの速度と合わせて、レーザーの照準・照射・到達の攻撃プロセスをテレポートのインターバルである六秒以内に完遂することが可能となっている。ただし、誤作動や完全自動化への懸念から自動化は照準機能のみとなっており、発射は人の手で行われるシステムとなっている。なお、四方へ向いている各砲のエネルギーを一方向に集めることでエネルギー充填速度および砲身冷却速度を上昇させ、連射能力を向上させるという芸当も可能であり、一方向からの集中攻勢にも十分な対応が可能である。
また、いわゆる近接防御のための火力は少なめとなっているが、これは周囲に散布された障害物と機雷、そして配備される無人機での迎撃によって敵の肉薄攻撃に対して十分に対応できるとの判断から、砲撃に対する防御力を重視した結果である。


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